■ 変形性膝関節症 osteoarthritis

変形性膝関節症とは

❑ 膝関節軟骨の弾力性の低下、摩耗、変形によって生
じる病気です。
❑ 初期は、立ち上がりや歩きはじめなど動作の開始時
に痛みを感じます。
❑ 進行すると、正座や階段の昇降が困難となり、安静時
痛、膝に水がたまる、膝の可動域制限、歩行障害が出現します。
❑ 活動性の低下により、高血圧や糖尿病を発症しやすく、生命予後を悪化させ
る可能性を指摘されています。肥満の合併により、生命予後はさらに悪化す
るとされています。
■ 変形性膝関節症の原因
❑ 加齢に加えて、膝関節への力学的負荷の増加が指摘されています。
・ 肥満 (オッズ比での危険度 2.66)
・ 過体重 (オッズ比での危険度 1.98)
・ 女性 (オッズ比での危険度 1.68)
・ 高齢
・ 膝関節外傷 (オッズ比での危険度 4.2~6.0)
・ 膝関節に負荷をかける活動性(職業)
・ 膝アライメントや筋力
・ 歩行時スラストなど機械的因子の影響
・ メタボリック症候群の病態(高血圧,脂質異常,糖代謝異常)
・ 遺伝子、遺伝子多型の関与[GDF5(growth differentiation factor 5)]
◇ 痛みとの関連因子



・ 性別 (女性)
・ 肥満
・ 大腿四頭筋の筋力低下
・ 膝外傷歴
・ 変形の強さ[Kellgren-Lawrence (KL) grade]
■ 変形性膝関節症の診断
◇ 診察


膝の痛み、関節の可動域、腫、変形
◇ レントゲン検査
 

アライメント、関節裂隙狭小化、Kellgren-Lawrence
(KL)分類等で重傷度の評価。
◇ MRI/超音波検査



軟骨、軟骨下骨、半月板、滑膜炎などの評価。
■ 変形性膝関節症の非薬物治療
◇ 運動療法



鎮痛、身体機能改善効果、日常生活機能改善効果を認め
有用です。
[推奨の強さ 1 強い](実施を推奨する)
・筋力増強トレーニング(大腿四頭筋強化訓練)、エアロ
ビクス、陸上運動、水中運動、太極拳など。

・減量により鎮痛、機能改善、ADL(日常生活動作)の 改
善が認められますが、効果は限定的です。ただし、極
端な減量は骨密度を減少させる危険性があります。
[推奨の強さ 2 弱い](実施を提案する)
◇ 物理療法


❑ 経皮的電気神経刺激(TENS) : [推奨の強さ 2]:弱く推奨(提案)
❑ 超音波治療 : [推奨の強さ 2 弱い]推奨(提案)
❑ 鍼灸治療 : [推奨の強さ 2 弱い]有用性を判断することが難しい(実
施しないことを提案)
❑ 装具 (歩行補助具を含む) : 膝装具,外側楔型足底板を用いた装具療法は鎮
痛および機能改善の効果は限定的です。[推奨の強さ 2 弱い](実施を提案)
■ 変形性膝関節症の薬物治療
◇ アセトアミノフェン



有用性は限定的ですが、提案されています。
[推奨の強さ 2 弱い](提案)
◇ NSAIDs内服薬



短期的な鎮痛および機能改善効果を認めるものの、長期
間の使用は合併症に留意 する必要があります。
[推奨の強さ 2
弱い](実施を提案)
◇ NSAIDs外用薬


鎮痛および機能改善効果があり、重篤な合併症もなく用です。
[推奨の強さ 1 強い]:(実施を推奨)
◇ 弱オピオイド


変形性膝関節症に対する使用は有用ですが、副作用(悪心・嘔吐、便秘、眠気、
せん妄、排尿障害)や乱用・依存の危険性も指摘されています。 [推奨の強さ 2 弱い](実施を提案)
◇ SNRI



セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI
)は有用とされています。
[推奨の強さ 2弱い](実施を提案)

◇ ヒアルロン酸関節内注射


変形性膝関節症に対して有用とされています。
[推奨の強さ 2 弱い]:(実施を提案)
◇ ステロイド関節内注射


有用ですが短期的効果のみであり、頻回の投与や長期間の使用は避けるべきです。
[推奨の強さ 2 弱い](実施を提案)
◇ ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出含有製剤


有用性が認められます。
[推奨の強さ 2 弱い](実施を提案)
■ 治療の目安
◇ 併存疾患がない場合


・アセトアミノフェン
・NSAIDs外用薬
・非選択的NSAIDS内服薬
・ヒアルロン酸関節内注射
◇ 消化管障害リスクがある場合


・アセトアミノフェン
・NSAIDs外用薬
・ヒアルロン酸関節内注射
◇ 心血管障害リスクがある場合


・アセトアミノフェン
・NSAIDs外用薬
・ヒアルロン酸関節内注射
◇ 腎障害リスクがある場合


・アセトアミノフェン
・ヒアルロン酸関節内注射
■ その他
◇ サプリメント



サプリメント(グルコサミン,コンドロイチン,および
グルコサミンとコンドロイチンの併用およびビタミンD
)は、変形性膝関節症にたいし鎮痛・機能改善効果、
ADL/QOL の改善効果は認められず、軟骨保護作用も明
らかでなく、これらの有効性はすべて否定的です。有害
事象の発生はプラセボと有意差はないものの、臨床的改善
が見込まれない以上、そのコストは受容できるものとはい
えないと考えられています。
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